感染症診療の原則

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感染症診療の原則

感染症診療の原則は以下の5点が挙げられます。
1.感染臓器を知る
2.患者背景を知る
3.起因微生物を推定する
4.適切な抗菌薬を使用する
5.適切に経過観察を行う

感染症を診療する時、「どの臓器が、どの微生物によって、感染症を起こしている」か。
そして「感染している臓器に移行性の良い、原因微生物をスペクトラムにおさめている抗菌薬を使用する」という一連の考えが基本となります。

1.感染臓器を知る

どの臓器に感染しているかは、症状とその経過、診察所見が重要です。
必要に応じて、血液検査や画像診断も行います。

2.患者背景を知る

問診で患者の背景を確認します。
患者の年齢、基礎疾患・免疫状態、暴露歴(ペット、食事)、感染した場所(院内か院外、旅行先での訪問地や活動内容)を知ることで、原因微生物を推定することができます。

3.起因微生物を推定する

感染臓器と起因菌を推定したら、塗抹、グラム染色、各種培養、血液培養、抗体検査などで起因微生物を同定します。

検査方法については→    サイト内の【感染症の検査】を参照

4.適切な抗菌薬を使用する

抗菌薬投与の前に、この患者は感染症であり、すぐに抗菌薬投与を始めなくてはならないかを検討します。
抗菌薬投与の前には、感染臓器と起因菌の推定が正しい判断かを検討します。抗菌薬を始める前に起因微生物の同定に必要な検査が終っていることも確認します。

抗菌薬の選択については →  サイト内の 【抗菌薬の選択】を参照

5.適切に経過観察を行う

治療効果の判定には、感染臓器に特異的なパラメータを使用します。
例えば、尿路感染症は尿中白血球数、細菌性心内膜炎は血液培養陰性化です。
培養の結果が出て、より狭域のスペクトラムの抗菌薬で良い場合は、抗菌薬を変更します。
感染症によって、回復パターン速度が異なり、すぐに炎症が収まる感染症とそうでない感染症があります。そのため、「この感染症はこのような回復をする予定である」という予測の下に経過観察を行うことが大事です。

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