疾患別(プライマリ・ケア医が診る感染症)

2024-10-23肺炎

肺炎球菌性肺炎

肺炎球菌性肺炎

侵襲性肺炎球菌感染症における研究では、尿中肺炎球菌抗原迅速検査の感度は80%程度だが、特異度は95%程度であったとしている1)。多少放置された検体、抗菌薬投与後の検体でも検出できるため、プライマリケアにおいて利用価値の高いある検査といえる。

肺炎球菌性肺炎の治療

起因菌が肺炎球菌と推定できている場合には、軽症であればアモキシシリン(サワシリンカプセル®)のみで治療できる。ただし、ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)の頻度の高い地域では、ドキシサイクリン(ビブラマイシン錠®)またはST合剤(バクタ錠®)を選択した方が良いかもしれない。

中等症以上では、できればアンピシリン(ビクシリン®)の静脈注射を選択したいが、訪問看護と連携しても1日1回の投与を余儀なくされるのであれば、セフトリアキソン(ロセフィン®)を静脈注射する。ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)の頻度の高い地域では、レボフロキサシン(クラビット錠®)を選択した方が良いかもしれない。

治療期間は5~7日間とする。ただし、血液培養陽性または菌血症を強く疑う状況では、10~14日間の投与とする。
 
軽症アモキシシリン(サワシリンカプセル®)1回500mgを1日3回、5~7日間経口投与する
軽症・βラクタム系抗菌薬が使用できないときドキシサイクリン(ビブラマイシン錠®)1回100mgを1日2回、5~7日間経口投与する
中等症以上セフトリアキソン(ロセフィン®)1gを24時間おきに5~7日間静脈注射する。ただし、症状が改善したところで残りの日数はアモキシシリンの内服に変更してよい(血培陽性を除く)
中等症以上・βラクタム系抗菌薬が使用できないときレボフロキサシン(クラビット錠®)1回500mgを1日1回、5~7日間経口投与する

参考文献

1)Smith MD, et al. Rapid diagnosis of bacteremic pneumococcal infections in adults by using the Binax NOW Streptococcus pneumoniae urinary antigen test: a prospective, controlled clinical evaluation. J Clin Microbiol. 2003 Jul;41(7):2810-3.

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