薬剤耐性対策(AMR)
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2024-10-22薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン(2023-2027)について
薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン(2023-2027) National Action Plan on Antimicrobial Resistance について
1980年代以降より、抗菌薬が効かない薬剤耐性(AMR:Antimicrobial Resistance)をもつ細菌が世界中で増えています。これは、入院管理を要する病院だけの問題だけでなく、外来診療を中心とする診療所/クリニックでの市中感染症でも問題となっており、また、動物のもっている薬剤耐性菌が畜産物や農産物を介して人に広がっています。さらに、新しい抗菌薬の開発も限界にきており、薬剤耐性菌による感染症の治療はますます難しくなってきています。
抗菌薬が効かない薬剤耐性菌が増えると、これまでは適切に治療をすれば治癒していた感染症の治療が難しくなり、入院率/重症率/死亡率が高くなります。
このまま対策が取られなければ、2050年までに全世界における薬剤耐性菌による死者数は年間1000万人に上り、がんによる死亡者数を上回ると推計されており1)、日本でも2017年におけるMRSA菌血症とキノロン耐性大腸菌の菌血症によって年間8,000 人以上が死亡していると報告されています2).そのため、薬剤耐性(AMR)の発生をできる限り抑制し、薬剤耐性微生物(ARO:antibiotic resistant organisms)による感染症のまん延を防止することが重要となり、WHO(世界保健機関)では、2015年5月に「薬剤耐性に関するグローバル・アクション・プラン」が採択。それを受けて日本でも2016年4月「薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン(2016-2020)」を策定、そして、2023年4月にさらに5年間で実施すべき事項をまとめた新たな「薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン(2023-2027)」3)を取りまとめました。
これまで、抗菌薬適正使用の介入は、主に点滴静注薬/入院管理を中心とする病院になされてきました。しかし、日本における抗菌薬使用量の90%が経口抗菌薬である4)という現実を考えると外来診療を中心とする診療所/クリニックなどのプライマリケア領域を実践する医療現場での抗菌薬適正使用の介入は不可欠となります。「薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン(2023-2027)」において、新たに加わったものの中にWHOの定めるAWaRe分類5)(抗菌薬を大きくAccess、Watch,Reserveと3つに分類)を用い、全抗菌薬の使用をAccess(使用を推奨する抗菌薬)に分類された抗菌薬の割合を60%以上にすることを目標としています。
日本の外来診療で処方されている抗菌薬の50%以上は、本来抗菌薬の不要な病態に対する処方であり、抗菌薬の必要な病態であっても適切な抗菌薬の選択されていないというのが現状です6)。
日本では、諸外国と比較して、Access(使用を推奨する抗菌薬)に分類されていない経口第3世代セファロスポリン系抗菌薬、経口フルオロキノロン系抗菌薬、経口マクロライド系抗菌薬の使用量が多い7)ことが指摘され、これらの抗菌薬は患者背景により特有の投与リスク(下記)があり、特に注意を要します。
抗菌薬が効かない薬剤耐性菌が増えると、これまでは適切に治療をすれば治癒していた感染症の治療が難しくなり、入院率/重症率/死亡率が高くなります。
このまま対策が取られなければ、2050年までに全世界における薬剤耐性菌による死者数は年間1000万人に上り、がんによる死亡者数を上回ると推計されており1)、日本でも2017年におけるMRSA菌血症とキノロン耐性大腸菌の菌血症によって年間8,000 人以上が死亡していると報告されています2).そのため、薬剤耐性(AMR)の発生をできる限り抑制し、薬剤耐性微生物(ARO:antibiotic resistant organisms)による感染症のまん延を防止することが重要となり、WHO(世界保健機関)では、2015年5月に「薬剤耐性に関するグローバル・アクション・プラン」が採択。それを受けて日本でも2016年4月「薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン(2016-2020)」を策定、そして、2023年4月にさらに5年間で実施すべき事項をまとめた新たな「薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン(2023-2027)」3)を取りまとめました。
これまで、抗菌薬適正使用の介入は、主に点滴静注薬/入院管理を中心とする病院になされてきました。しかし、日本における抗菌薬使用量の90%が経口抗菌薬である4)という現実を考えると外来診療を中心とする診療所/クリニックなどのプライマリケア領域を実践する医療現場での抗菌薬適正使用の介入は不可欠となります。「薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン(2023-2027)」において、新たに加わったものの中にWHOの定めるAWaRe分類5)(抗菌薬を大きくAccess、Watch,Reserveと3つに分類)を用い、全抗菌薬の使用をAccess(使用を推奨する抗菌薬)に分類された抗菌薬の割合を60%以上にすることを目標としています。
日本の外来診療で処方されている抗菌薬の50%以上は、本来抗菌薬の不要な病態に対する処方であり、抗菌薬の必要な病態であっても適切な抗菌薬の選択されていないというのが現状です6)。
日本では、諸外国と比較して、Access(使用を推奨する抗菌薬)に分類されていない経口第3世代セファロスポリン系抗菌薬、経口フルオロキノロン系抗菌薬、経口マクロライド系抗菌薬の使用量が多い7)ことが指摘され、これらの抗菌薬は患者背景により特有の投与リスク(下記)があり、特に注意を要します。
参考文献
1)Jim O’Neill, “The Review on Antimicrobial Resistance. Tackling Drug-Resistant Infections Globally: Final Report and Recommendations.," May 2016
2)Tsuzuki S, et al : National trend of blood-stream infection attributable deaths caused by Staphylococcus aureus
and Escherichia coli in Japan. J Infect Chemother 26(4): 367―371, 2020.
3)薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン2023-2027
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/ap_honbun.pdf
4)全国抗菌薬販売量 2022年調査データ .
AMRCRC. https://amrcrc.ncgm.go.jp/surveillance/020/file/Sales_2013-2022_1.pdf
5)Sharland M, et al; 21st WHO Expert Committee on Selection and Use of Essential Medicines: Classifying antibiotics in the WHO Essential Medicines List for optimal use-be AWaRe. Lancet Infect Dis. 2018 Jan; 18(1): 18-20.
6)Hashimoto H, et al : Indications and classes of outpatient antibiotic prescriptions in Japan : A descriptive study
using the national database of electronic health insurance claims, 2012-2015. International Journal of Infectious
Diseases 91 : 1―8, 2020.
2)Tsuzuki S, et al : National trend of blood-stream infection attributable deaths caused by Staphylococcus aureus
and Escherichia coli in Japan. J Infect Chemother 26(4): 367―371, 2020.
3)薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン2023-2027
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/ap_honbun.pdf
4)全国抗菌薬販売量 2022年調査データ .
AMRCRC. https://amrcrc.ncgm.go.jp/surveillance/020/file/Sales_2013-2022_1.pdf
5)Sharland M, et al; 21st WHO Expert Committee on Selection and Use of Essential Medicines: Classifying antibiotics in the WHO Essential Medicines List for optimal use-be AWaRe. Lancet Infect Dis. 2018 Jan; 18(1): 18-20.
6)Hashimoto H, et al : Indications and classes of outpatient antibiotic prescriptions in Japan : A descriptive study
using the national database of electronic health insurance claims, 2012-2015. International Journal of Infectious
Diseases 91 : 1―8, 2020.
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