感染症の治療

2024-10-21抗ウイルス薬

帯状疱疹

帯状疱疹

外来で治療する帯状疱疹患者は、播種性ではない、皮節性の限局性の帯状疱疹で、治療のポイントは以下になります。 

目的は、皮膚病変の改善と痛みの期間や程度の軽減になります 。
72時間以内のより早期の抗ウイルス薬の投与が効果を最大限に発揮するためには基本ですが、65歳以上や三叉神経領域(V1など)の場合、72時間たってから新病変が出てきている場合などは、発症から72時間経過しても適応としてもよいとされます1) 
50歳未満の健常人への投与に関する質の高い臨床研究はありませんが、72時間以内であれば適応と考えて良いでしょう 
非高齢者でも三叉神経領域(V1など)の場合には眼病変のリスクもあり、投与しても良いとされます 
 

 治療薬はアシクロビル、バラシクロビル、ファムシクロビルの3剤から選択となりますが、バイオアベイラビリティの側面から、バラシクロビルとファムシクロビルが好まれます。 

 

■バラシクロビル1回1000㎎1日3回 7日間 

薬価:76.7円/500㎎錠、1治療当たりの薬価:3221.4円(後発品:44.3~164.7円/500㎎錠) 

 ・アシクロビルの3~5倍の吸収率 

■ファムシクロビル1回500㎎1日3回 7日間 

薬価:82.8円/250㎎錠、1治療当たりの薬価:3477.6円(後発品:68.9円/250㎎錠、132.6円/500㎎錠) 

 ・他の抗ウイルス薬と比較しても、症状の改善や帯状疱疹後神経痛の発生に差がなかった 

■アシクロビル1回800㎎1日5回 7日間 

薬価:34.3円/400㎎錠、1治療当たりの薬価:2401円(後発品) 

 

*高齢者や腎機能が悪い患者では抗ウイルス薬投与による脳症のリスクがあります。基本的には中止で改善すしますが、意識状態の変化に注意するよう説明することが重要です。 

*妊婦の場合には最も臨床データのあるアシクロビルが安全性の側面からも望ましい 

 

2分節以上の拡がりを呈する播種性帯状疱疹、中枢神経合併症が疑われる場合は、原則入院し、点滴アシクロビルの治療が望ましいです。また、三叉神経領域でも鼻のてっぺんや周辺、おでこなど目に近い場合は、眼科の受診が重要です。

参考文献

1)McKay SL, Guo A, Pergam SA, Dooling K. Herpes Zoster Risk in Immunocompromised Adults in the United States: A Systematic Review. Clin Infect Dis. 2020;71(7):e125-e134.

タイトルとURLをコピーする

この記事をシェアする

  • x
  • facebook
プライマリ・ケアのための感染症情報サイト