疾患別(プライマリ・ケア医が診る感染症)

2024-09-03性感染症(梅毒、淋菌、クラミジア、HIV)

淋病

淋菌感染症とは

淋菌とは、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)という細菌によって引き起こされる性感染症のです。淋菌感染症は、尿道、子宮頸部、直腸、のどの粘膜や、眼の前部を覆う膜(結膜と角膜)に感染します。感染は主に腟、口、または肛門の性的接触によって広がります

症状

・淋菌性尿道炎:男性でよく見られ、感染後3〜7日の潜伏期間の後に、排尿時の痛みや尿道からの膿のような分泌物、尿道のかゆみなどが主な症状です。

・淋菌性子宮頚管炎:女性の子宮頸管に感染します。無症状であることが多いですが、症状が現れる場合には、おりものの増加、不正出血、下腹部痛、性交時の出血などが現れることがあります。

・淋菌性咽頭炎:多くの場合、無症状であることが多いですが、長引く咽頭炎は淋菌感染の可能性があります。

検査方法

男性: 尿や尿道からの膿を採取します。
女性: 膣ぬぐい液を採取します。
咽頭感染: 咽頭周辺のうがい液やぬぐい液を採取します。

SDA法(Strand Displacement Amplification)やTMA法(Transcription Mediated Amplification)などの核酸増幅法、咽頭培養検査を行います。

HIVを含む他の性感染症をスクリーニングします。

治療

・セフトリアキソン1g 単回静注

・ペニシリンアレルギーの場合
  アジスロマイシン2g+ゲンタマイシン240㎎ 単回投与

予防

淋菌感染症は無症状で進行することも多いため、予防が重要です。コンドームは性行為における粘膜接触を防ぐための基本的な予防策で、感染予防には性的接触時のコンドームの使用が推奨されます。
感染の疑いがある場合は、早めに医療機関で検査を受けることが重要です。

プライマリ・ケアにおける診察のポイント

尿道炎は症状があるため診断しやすいですが、子宮頸管炎は症状が乏しいため、知らずに感染していることもあります。長引く咽頭炎や女性のおりものの増加、不正出血、下腹部痛、性交時の出血などの症状がある場合や、問診で性的に活発な人やパートナー等の病歴があれば、検査を受けることが推奨されます。早期に感染を発見し、適切な治療を受けることで、感染の拡大を防ぐことができます。

参考サイト・文献

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